心臓リハビリ3 データで示す心臓リハビリ その他 | 心不全 | 運動心臓リハビリテーション
心臓リハビリの歴史
リハビリの名前から連想されるように、心臓リハビリが始まった当初は、主に長期臥床からの廃用症候群を予防するものでした。
はじめにデータが蓄積されたのは心筋梗塞に対するリハビリです。心筋梗塞で入院になった際に、長期ベッド上安静でした、入院から数日たっても、便ですらベッドで臥床しながらするよう指導されておりました。現在では様々なデータが蓄積し病態に応じて早期のリハビリのプログラムが構築されています。病態に応じて、脈や血圧の変化を見ながらリハビリすることで、病態を悪化させずに運動能が改善することがわかるようになりました。
その後、心筋梗塞以外にも心不全を始め様々な病態で応用が可能になり現在では入院や外来を問わずシームレスな治療が可能になり、現在は心臓病治療の中核に成長しました。
外来リハビリの普及1−① 冠動脈疾患に有効
心臓リハビリが何故、治療の柱になったのでしょうか。生命予後改善や再発予防における様々な大規模な成績が集積されたからです。特に上記のデータは衝撃的でした。
内容を説明します。冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)に対してカテーテル治療後、通常外来群と心臓リハビリ施行群の2群を比較したところ、リハビリの有無で観察期間中に46%の死亡率の違いを認めました。 Circulation. 2011;123:2344–2352
外来リハビリの普及1−② 冠動脈疾患の重症度に問わず有効
先ほどの結果は心臓リバビリを支持するに十分なデータでした。では冠動脈疾患の重症度によって違いは出るのでしょうか。上記のデータでは心臓リハビリによる死亡率の低下は軽症でも重症でも同様でした。JACC 2004 ; 44 : 988-996
また、心臓リハビリは費用対効果でも優れています。日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも推奨度はclassIすなわち冠動脈や心不全、心臓病術後の患者に対し医師が勧めなければならない治療とされています。
外来リハビリの普及(アメリカのメイヨークリニック)
アメリカのメイヨークリニックでのデータです。狭心症や心筋梗塞に対し行うPCI(冠動脈カテーテル治療)後のリハビリが21世紀になり飛躍的に増加しています。
外来リハビリの普及2(日本)(アメリカのメイヨークリニック)
日本においてもわずか4年心臓リハビリが施行できる施設が倍増しています。
外来リハビリの普及3-①:慢性心不全に有効:生命予後改善
慢性心不全における成績も同様に通常外来群と心臓リハビリを行った群を比較すると、心臓リハビリ群が死亡率及び再入院抑制において有意性が示されています。ExTraMaTCH試験、HF-ACTION が代表的な試験です。大規模臨床試験において、心不全と言っても様々な病態及び病状が混在しているためカテーテル治療後ほどデータにインパクトはありませんが、今後必ず起きる心不全パンデミックを回避するには柱になる治療です。