院長コラム

福岡市南区|ふくだ内科循環器・糖尿病内科

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心不全の新規治療薬 循環器 | 心不全

心不全治療薬の歴史

1番目のスライド(↑)
治療薬として一番古いのは利尿剤及びジギタリスです。現在も使用しますが、浮腫や頻脈に対するいわゆる対処療法です。

次に登場したβ遮断薬ACE阻害薬ARB製剤アルドステロン拮抗薬は、心機能の低下した心不全患者における現在における標準治療です。今は症状で困ってなくても将来的な増悪を予防するために処方します。21世紀に入り、イバブラジンネプリライシン阻害薬の報告がされましたが本邦でも処方ができるようになったのはここ数年です。今回はネプリライシン阻害薬とARBの合剤であるARNIと、1番目ののスライドには登場していませんが SGLT−2阻害薬に関する話題を特にまとめました。作用機序は今回記載しておりません。

本邦で、新規治療薬であるSGLT-2阻害薬やARNIが相次いで2020年に保険適応となりました。これらの治療薬が相次いで生命予後を改善することが報告され、心不全の治療は新たな時代に入ったと言えます
ただし、新規治療薬に関しては適応・有効性を吟味して、その人にあった治療を選択する必要があります。SGLT-2阻害薬やARNIの解説は下記に別途まとめました。

包括的治療群 Comprehensive therapy:ARNI, β blocker, MRA,SGLT2i

従来治療群  Conventional therapy:ACEi or ARB and β blocker.

HFrEF(左室駆出率いわゆるEFが40%以下)における治療において、包括的治療群(エビデンスの明らかな4種類の薬剤の処方)と従来型治療に分けて治療介入を行った際にどれ位の寿命に影響を与えたかをデータ化した論文である。65歳時に治療介入を行った場合、治療介入を行わなかった群に比較して包括的治療群で13年、従来型治療で6.7年の寿命を伸ばした報告です。SGLT-2阻害薬やARNIは、心不全の原因に関わらず有用です。

European Heart Journal (2021) 42, 681–683  Johann Bauersachsは、上記で包括的治療群と記載された薬剤を「The fantastic four」と記載しています。アメリカンコミックにおけるヒーローを意識したのでしょうか?

Circulation. 2021;143:875–877に記載されたMcMurrayが提唱する新しい薬剤の優先順序です。現在の日本の医療ではまずACE阻害薬やβ遮断薬が優先されますのでこのような、今後日本のエビデンスが構築されるとこのような処方順序も可能になるかもしれません。

SGLT-2阻害薬

2020年11月に日本でも「慢性心不全」に対するダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)10mgが保険適応になりました。本来ダパグリフロジンは糖尿病に対して開発された経緯があり、日本でもすでに2014年5月より糖尿病治療として適応がありました。ところが、糖尿病がないかたにおいても、SGLT-2阻害薬を内服すると慢性心不全患者の再入院や寿命が明らかに改善することが相次いで報告され、糖尿病がなくても処方できることが求められていました。下記に示すDAPA-HF試験はその代表的な臨床報告です。2020年11月に、糖尿病がなくても慢性心不全の診断があり一定の条件が満たされればダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)10mgが保険で処方することが可能になりました。一定の条件とは『慢性心不全の診断があり、かつ心臓超音波で左室駆出率(LVEF)が40%未満、慢性心不全の標準的な治療を受けている』ことが挙げられます。

DAPA-HF(Dapagliflozin And Prevention of Adverse-outcomes in Heart Failure
N Engl J Med 2019; 381:1995-2008

2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率(LVEF40%以下)の心不全を対象に、心不全の標準治療に、ダパグリフロジン10mg群、プラセボ群と比較評価したた多施設共同無作為化二重盲検試験。ダパグリフロジン10mg群は再入院、心血管死を大きく減少させた臨床報告です。

 

ARNI
ARNIとはAngiotensinReceptorNeprilysinInhibitorの略語です。
従来から心不全治療として用いられていたARBと心不全に有効であるネプリライシン阻害薬の合剤です。
2020年よりサクビトリルバルサルタン(商品名:エンレスト)が保険適応となりました。心不全治療において、標準治療としてのACE阻害薬もしくはARBからの切り替えで、明らかな予後改善効果があります。

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