心不全: 原因・検査・治療 心不全

原因
心不全は原因を調べることが非常に重要です。主に医学的要因と患者要因の2つにわけられます。
医学的要因は、心臓自体が悪くなっていることがほとんどです。大きく分けると
①冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
②心臓の構造の異常 (心筋症・弁膜症)
③脈の異常(不整脈)
が多くを占めます。他に、高血圧も大きな原因です。また、慢性心不全状態から貧血・血圧上昇・感冒などで増悪するパターンも非常に多いです。
患者要因は3つのパターンが多いです。
①塩分・水分管理ができていない
② 薬の飲み忘れ
③精神的・肉体的なストレス
(近日追加予定)
検査
心不全は症状と検査を組み合わせることで診断します。
健康診断でもレントゲンや心電図検査は行いますが、健康診断で異常を指摘されない心不全は多く存在します。
胸のレントゲン: 心臓の大きさや形をチェックします。ひどくなると肺に水が貯まったり(胸水)うっ血したりします(肺水腫)
心電図: 心臓の負担、虚血性変化、不整脈などを調べます。
血液検査: 掘り下げると奥が深いですが、一般採血を中心に記載します。
✔︎ BNP(ProBNP):心不全に特異的な検査です。BNPは脳性ナトリウム利尿ペプチドと呼ばれ、通常心不全増悪で上昇します。頻回に測定することは保険で認められていません。
✔︎肝機能・腎機能 :心不全は色々な臓器に負荷をかけます。肝臓・腎臓に負担がかかるとうっ血肝や腎血流の低下を起こし、採血で肝機能・腎機能が増悪します。
✔︎貧血・甲状腺機能異常:心不全の原因、増悪する原因になります。
心臓超音波(心エコー)検査:心臓の動きや、弁膜症(大動脈・僧帽弁などの異常)、心臓の筋肉(心筋)の情報がわかります。治療効果、経過にも使用します。
冠動脈造影、右心カテーテル検査:カテーテル検査です。最近では冠動脈CTも冠動脈の評価に使用されます。
心臓MRI検査:心臓の筋肉の状態、ポンプ機能を調べます。
治療
「原因をみつけ、原因に対して治療をする」ことです。原因によって治療が異なります。
のみ薬
ここでは主に慢性心不全に使う薬剤を記載します。
利尿剤: 体の余分な水分(浮腫)をとります。余分な水分をとるために、必要最小限使います。
ラシックス(フロセミド)アルダクトン(スピロノラクトン)サムスカ(トルバプタン)
ACE阻害薬( ARB製剤)、β遮断薬:重要な内服薬です。内服することですぐに症状が良くなることは稀ですが、長期継続使用することで心不全の再発が減ります。薬剤情報には、“血圧を安定する薬”“血圧を下げる薬”と記載がありますが、血圧が低めであっても使用することがあります。
ACE阻害薬:レニベース、タナトリル
β遮断薬:アーチスト 、メインテート
(薬剤の詳細は心不全の原因によって異なります)
血圧管理
高い血圧は心臓に負担をかけます。安定した血圧管理が必要です。自分の目標血圧は知っていますか?その人にあった血圧があります。
塩分
過剰な塩分は心臓に負担をかけます。減塩をこころがけましょう。1日6g未満を目指します。病院に入院して塩が少ないと感じたなら減塩を考えましょう。日本人は、塩分摂取6g未満が実現できている方はほとんどいません。可能なら家族と一緒に栄養指導を受けてください。