院長コラム

福岡市南区|ふくだ内科循環器・糖尿病内科

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糖尿病と心不全 そしてSGLT2阻害薬 その他 | 合併症 | 心不全 | 糖尿病


 
 
心不全進展ステージ
2018年に公表された急性・慢性心不全診療ガイドラインを用いて説明することが多いです。糖尿病と診断された時点でステージAです。問診や検査による定期的な評価が必要です。
 
心不全リスクステージA  糖尿病と診断された時点からステージA
心不全リスクステージB  心臓に器質的な異常を指摘された時点からステージB
心不全ステージC・D    心不全症状が一度でも出現した時点からステージC以上
 
 

 
 
心不全の発症リスク
糖尿病があれば(ない方に比べ)心不全リスクが男性1.82倍・女性3.75倍 JAMA. 1979;241:2035–2038
糖尿病があれば(ない方に比べ)心不全リスクが1.74倍  JACC. 2000;35:1628–1637
 
 
心不全の診断に至る経緯
①自覚症状  浮腫や息切れ
②診察や検査/心電図・レントゲン・心臓超音波・採血(BNPもしくはProBNP含む)
リスクが高い人は定期的な診察により早期発見につながります。心筋症の家族歴、糖尿病や高血圧歴が長いと高リスクです。他の項目にも記載していますので参考にされてください。

病態:糖尿病から心不全に至る病態生理  Circulation. 2019;140:e294–e324
 
 
病態:糖尿病から心不全に至る病態生理
機序1:冠動脈疾患/虚血性心疾患を発症:内皮機能障害や血管内の炎症を惹起することで虚血性心疾患を発症
機序2:心筋症を発症:左室肥大,自律神経障害やRAS系の亢進に伴う心筋の線維化から糖尿病性心筋症を発症
 
 
さらに深く知る:心不全は糖尿病の一合併症/2022年米国糖尿病学会コンセンサスレポート
 
 


 
 
「糖尿病と心不全」をSGLT2阻害薬で治療・予防
「糖尿病と心不全」を糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬が予防や進展抑制ことが知られるようになりました。
SGLT2阻害薬は「尿糖を排泄する」機序からHbA1cを改善する以外に、脂肪肝の改善・腎保護など多面的な効果が明らかになりました。
 
 
心負荷軽減の機序 Diabetologia.2018;61:2108–2117
 
 
心負荷軽減の機序
①ナトリウム排泄や浸透圧利尿に伴う前負荷軽減及び、血圧や血管機能改善に伴う後負荷軽減
②心筋細胞内代謝の改善③心筋内Na+/H+ 交換の阻害④心筋線維化や壊疽の抑制
 
 

腎保護の機序からの心不全抑制    Diabetologia.2018;61:2108–2117
 
 
腎保護の機序からの心不全抑制
心臓と腎臓が密接に関係しており心不全にも腎臓の機能が深く関与しております。これを心腎連関症候群と呼びます。糖尿病は腎臓の負荷や障害を促進します。具体的には、腎臓の糸球体内圧の上昇やHyperfiltrationと呼ばれる過剰濾過を起こします。SGLT2阻害薬は、糸球体内圧の上昇や過剰濾過の改善、すなわち腎保護を通して心不全抑制に寄与します。(上スライドa→b)
 
 

SGLT2阻害薬と利尿剤の違い Diabetologia.2018;61:2108–2117
 
 
SGLT2阻害薬と利尿剤の違い
SGLT2阻害薬 は間質性浮腫をメインに除去・改善(上スライドbに相当)
ループ利尿薬 は間質性浮腫及び血管内の水分を両方除去・改善(上スライドCに相当)
 

この機序は非常に大事です。心不全におけるループ利尿剤は、脱水の懸念から最小限にとどめる必要がありますが、SGLT2阻害薬はその機序からループ利尿剤より脱水の懸念が少なく、シックデイなどを十分に認識していれば継続して内服することが可能です。当初、実臨床にはどこまで当てはまるか半信半疑な所もありましたが、2020年前後後に実臨床からそれを裏付けるデータが数多く報告されるようになり、SGLT2阻害薬とループ利尿剤の利尿効果の違いは多くの臨床医に認識されるようになりました。

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