狭心症 冠動脈疾患

目次
✔︎狭心症とは
✔︎冠動脈は心臓の筋肉を栄養する血管
✔︎狭心症と心筋梗塞の違い
✔︎狭心症・心筋梗塞の原因
✔︎狭心症の検査
✔︎心臓カテーテルの前に読む
(カテーテル検査・カテーテル治療・心臓バイパス術)
✔︎ニトログリセリン
✔︎冠動脈のけいれんは日本人に多い(冠攣縮性狭心症)
初めに
狭心症は、心臓の病気として一度は名前を聞いたことがあると思います。では、皆様はどの位の知識をお持ちでしょうか?
A 心臓の病気・怖い病気・胸が痛い・特効薬がある
B 冠動脈の病気・狭心症はカテーテル治療もしくは内服薬で治療する
・胸が痛いだけでなく、様々な症状がある・特効薬はニトログリセリンである
狭心症と聞いてBまで、しっかり理解している人はこのコラムは飛ばして頂いて結構です。
Aの知識はあるが、Bまで自分で説明ができない人に向けたコラムです。
狭心症とは
狭心症は、冠動脈に異常があり心筋(心臓の筋肉)に血流が不足することで胸痛などの症状
が出現する心臓疾患です。冠動脈の異常は
1動脈硬化で血管が狭くなり、十分な酸素が供給されずに発作が起きるタイプ
2 血管がけいれんするタイプ(冠攣縮性狭心症)
の2種類があります。1と2を両方持つ狭心症患者も多いいます。
冠動脈 心筋を栄養する血管
心臓は、全身に血液を供給する
冠動脈は、心筋に血液を供給する
冠動脈は心筋の外側にあります。心筋を栄養します。心筋といってもピンとくる人は少ないと思います。心臓は常に動き続けていますが、動き続けているのが心筋であり、心筋がポンプとして働くことで全身に血液を送っています。現在の救急医療で、心停止の際に一番重要なのは心臓マッサージです。心臓のポンプ機能が破綻するとあっという間に命に直結します。
冠動脈の太さ(内径)
心筋梗塞で治療される血管の内腔は、個人差がありますが大部分が血管径4mm未満です。4cmではなく、4mmです。ステント治療に使用されるステント径は2.25mmから4mmの径です。またステントの長さは最長40mmです。
狭心症と不安定狭心症・心筋梗塞の違い
狭心症 :労作性狭心症は、一定の運動をすると発作が起こります。例えば階段の上り/早歩き/ふとんのあげおろし等で症状が出現します。
不安定狭心症:狭心症発作の頻度が多く、持続時間が長くなった場合を言います。例えば、今までは胸が苦しい状態が数分で改善していたのが、15分持続する・きつい運動でしかおこらなかった発作が、軽い運動で起こるといった状態です。心筋梗塞に移行する可能性が非常に高いです。(準)緊急入院されることをお勧めします。
心筋梗塞 :冠動脈が閉塞し、心筋への酸素供給が無くなります。結果的に心筋が壊死(腐る)します。非常に危険な状態で、絶対安静が必要です。救急車で搬送し、一瞬でも早く治療が必要です。
関連:心筋梗塞予防に必要なこと・心筋梗塞治療後に大事なこと
上記3つの共通点と相違点
心筋梗塞・不安定狭心症をまとめて急性冠症候群と総称されます。

狭心症の原因
糖尿病・高血圧・脂質代謝異常・喫煙・肥満など1つだけで説明できません。
狭心症の検査
1 心電図、運動負荷心電図・・
カテーテル治療するか否か判断する上で、運動負荷心電図は非常に重要な検査です
2 心臓超音波・・・・
レントゲンではわからない心臓の動き・壁の厚さ・弁膜症が分かります。
3 冠動脈CT検査・・・・
冠動脈のプラークとその性状がわかります。冠動脈CT・造影検査は、必要時に速やかに連携施設と連絡をとります。
4 心筋シンチグラフィー
症状がない時には体に負担のない1.2から行います。ドック・健診代わりの冠動脈CT・冠動脈造影検査は循環器学会も勧めておりません。冠動脈CT・心筋シンチ・冠動脈造影が必要な際は可能な病院と連携します。
心臓カテーテル治療前に読む
狭心症もしくは心筋梗塞の可能性があればカテーテル検査を行います。検査は他の心臓病(心筋症・肺高血圧・弁膜症術前など)でも行います。現在多くは手首の血管(橈骨動脈)からカテーテルをいれ造影剤を使って冠動脈造影を行います。造影剤前後で点滴をします。カテーテル検査は、そのままカテーテル治療も同じ日にうけることが可能です。ただし、狭心症や心筋梗塞の治療は、カテーテル治療以外に冠動脈バイパス術もあるため当日は検査のみ行い後日治療することもあります。
ニトログリセリン 心臓の特効薬
ニトログリセリンは舌下錠もしくは、スプレータイプがあります。胸痛はいつ再発するかわかりません。カテーテルや薬での治療で症状がほとんどなくなった後も、必ず携帯してください。
冠攣縮性狭心症
冠攣縮性狭心症は、冠動脈の一過性のけいれんによって狭心症がおこります。日本人は冠攣縮性狭心症が、人種的に多いとされています。
特徴:明け方や安静時(何もしていない時)の発作が特徴ですが、時に運動の際にもおきます。早朝の運動能の低下や、ニトロ舌下で効果があるのが特徴です。
内服について:重症の冠攣縮性狭心症では、心室細動などを引き起こし突然死をおこす例があります。カテーテルで冠攣縮性狭心症と確定診断がついた方は、しばらく症状がなくても内服薬を継続する必要があります。
原因:喫煙・LDLコレステロール高値・糖代謝異常・ストレスなどの他,血管内皮細胞不全・
血管平滑筋の過収縮が挙げられます。特に禁煙の徹底は治療には欠かせません。